フォン(読み)ふぉん(英語表記)Fon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォン」の意味・わかりやすい解説

フォン(民族)
ふぉん
Fon

西アフリカのベナン共和国(旧ダオメー)南部に居住するネグロイド系民族。人口約100万。コンゴコルドファンニジェール・コンゴ)語族クワ系諸語に属する言語フォン語を話す。ヤムイモキャッサバメイズなどを主作物とする農耕民である。社会は父系クラン氏族)を基盤とするが、17世紀にアボメーを首都とする王国(ダオメー王国)を形成、急速に勢力を拡大し、強大な帝国を築いた。その王は、アフリカの王権にはまれな、専制的権力をもち、すべての官吏の任命権を手中にしていた。この独裁的権力は、ヨーロッパとの奴隷交易による利益と、輸入された火器の独占によって支えられていた。フォンの宗教は、高度に階級分化の進んだ社会に応じて、系譜関係や役割によって階層化された多数の神々の信仰を中核とする。この神々の名称や性格、祭祀(さいし)は、東に境を接する民族集団ヨルバのそれと共通のものが多い。

[渡部重行]


フォン(料理)
ふぉん
fonds フランス語

スープシチュー下地になるだし汁ブイヨンより濃厚なだし汁で、フォン・ブルンfond brun(とび色のだし汁)と、フォン・ブランfond blanc(白いだし汁)の2種類がある。このほかに、フォン・ドゥ・ボライユfond de volaille(鶏肉と鶏(とり)がらのだし汁)、フォン・ドゥ・ジビエfond de gibier(野禽(やきん)獣のだし汁)、フォン・ドゥ・ポアソンfond de poisson(魚のだし汁で、フュメ・ドゥ・ポアソンfumet de poissonともいう)などがある。

[小林文子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォン」の意味・わかりやすい解説

フォン
phon

音の大きさのレベルを表わす単位記号は phon。周波数 1kHz,音圧レベル NdBの音の大きさのレベルを Nフォンとし,正常な聴者がこの音と同じ大きさに聞えると判断した任意の周波数の音の大きさのレベルを同じ数値 Nフォンで表わす。人間の聴覚は周波数によって違うので,異なる周波数の音ではデシベル単位ではかった音圧レベルの数値とフォン単位ではかった音の大きさのレベルの数値とは一致しない。たとえば 4kHz,約 75dBの音と 50Hz,約 85dBの音はともに 1kHz,80dBの音と同じ大きさに聞えるので,これらの音の大きさのレベルはすべて 80phonである。なおフォンは騒音レベルの単位ホンとは異なる。単位名はギリシア語のフォーネ (音) に由来する。 (→音の大きさ , ソーン )

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