日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォーシャール」の意味・わかりやすい解説
フォーシャール
ふぉーしゃーる
Pierre Fauchard
(1678―1761)
フランスの歯科医学者。ブルターニュに生まれ、長じて海軍軍医見習生となり、外科の基礎と歯科診療を学んだ。海軍を退職してアンジェで歯科を開業した。この地で20年間歯科医療に従事し、40歳のときパリに移って歯科診療所を開設した。1728年に、彼の歯科臨床経験の集大成として『外科歯科医』Le Chirurgien Dentiste, ou Traité des dentsを出版した。これは歯科医学の百科事典ともいうべきもので、当時の歯科医術の発展に著しく貢献した。1733年にはドイツ語に翻訳され『フランスの歯科医師』Der Französische Zahnarztとしてベルリンで出版され、1946年には英訳されている。近世歯科医学の祖として尊敬されている。
[本間邦則]