六訂版 家庭医学大全科 「フッ化物とむし歯予防」の解説
フッ化物とむし歯予防
(歯と歯肉の病気)
むし歯は、細菌が産生する酸によって歯の表面が溶解されてできる、穴のない初期むし歯として始まります。むし歯予防の基本的なメカニズムは、この初期むし歯に唾液のカルシウムとリン酸が補給され、新たな歯の結晶ができて自然治癒することです。これを歯の再石灰化といいます。
この時、フッ化物が唾液中に微量あると、歯の溶解が抑制され、しかも再石灰化が格段にスピードアップし、その結果、歯は強化されて酸への抵抗性が高まります。これは、フッ化物があると、初期むし歯のなかにフルオロアパタイトという、元の歯よりも安定した結晶が形成されるためです。
再石灰化は、フッ化物イオンが唾液中に1㎎/ℓほどあれば促進されるので、むし歯予防には低濃度フッ化物の頻回作用が有効です。最大のむし歯予防効果はフッ化物を添加した水道水で得られ、次いで毎日のフッ化物洗口やフッ化物配合歯みがき剤の使用が有効です。
初期むし歯の
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報