化学辞典 第2版 「フッ化鉄」の解説
フッ化鉄
フッカテツ
iron fluoride
【Ⅰ】フッ化鉄(Ⅱ):FeF2(93.84).二フッ化鉄ともいう.鉄を赤熱してフッ化水素を作用させると得られる.淡黄色の結晶.密度4.09 g cm-3.融点1000 ℃ 以上.空気中で強熱すると酸化鉄(Ⅲ)になる.水に微溶,酸に可溶,エタノール,エーテルに不溶.四水和物は淡緑色の結晶.正八面体型六配位[FeF2(OH2)4]構造.密度2.095 g cm-3.水に難溶,酸に可溶.八水和物は緑色の柱状晶.密度4.20 g cm-3.鋼鉄製容器内部のフッ化不動態皮膜に用いられる.毒性が強い.[CAS 7789-28-8:FeF2][CAS 13940-89-1:FeF2・4H2O]【Ⅱ】フッ化鉄(Ⅲ):FeF3(112.84).三フッ化鉄ともいう.水酸化鉄(Ⅲ)をフッ化水素酸に解かして蒸発すると三水和物が得られ,フッ化水素気流中で加熱脱水すると無水物が得られる.緑色の結晶.密度3.52 g cm-3.融点1000 ℃ 以上.水に難溶,フッ化水素酸に易溶.ほかの酸には加熱によりわずかに溶ける.陶磁器の製造に用いられる.毒性が強い.[CAS 7783-50-8:FeF3][CAS 15469-38-2:FeF3・3H2O]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報