陶磁器(読み)とうじき(英語表記)pottery

  • とうじき タウ‥
  • とうじき〔タウ〕

翻訳|pottery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

粘土類,ケイ石類,長石類などを原料成形,焼成した器物。原料組成,焼成温度,焼成時間などによって土器陶器炻器 (せっき) ,半磁器軟質磁器硬質磁器などと区分しているが,その境界は必ずしも明確ではない。陶器は素地が多孔性のため吸水性を示すのに対して,磁器気孔がほとんどなく,あっても独立しているために吸水性を示さない。

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百科事典マイペディアの解説

粘土,石英,長石,陶石などの粉末を成形し,乾燥後適当な温度で焼成したものの総称。原料と焼成温度により土器陶器陶質土器磁器に分類され,その他特殊組成および性能をもった特殊陶磁器がある。成形法には手びねり,ひも造りなど手工芸的方法と,轆轤(ろくろ),鋳込み,プレスなどによる方法がある。土器の場合は素焼が最終工程となり,陶質土器は長時間の強火度の焼締めにより製品を得る。さらに陶器,磁器は金属酸化物の絵付顔料により絵付けをし(うわぐすり)を施し,強火度で本焼をして仕上げる。また本焼後,上絵付けと称して低火度の上絵用顔料で彩画し,800℃前後で再焼成する場合もある。
→関連項目素焼窯業

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世界大百科事典 第2版の解説

可塑性に富んだ粘土を用いて所定の形に成形し,高熱で焼き締めた要用の器物で,土器clayware,陶器pottery,炻器(せつき)stoneware,磁器porcelainの総称。一般に〈やきもの〉とも呼ばれる。人類が日常の容器として土器を用いるようになったのは,いまから1万年以上も前の,新石器時代のことである。土器の出現の契機は,煮沸容器としての機能の獲得にあったと考えられる。やがて古代文明の成立と相前後して,原始時代以来の長い伝統をもった酸化炎焼成による赤い素焼の土器のほかに,還元炎焼成による灰色の硬陶が生まれ,次いで灰釉を施した高火度焼成の施釉陶器が出現したことが知られている。

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大辞林 第三版の解説

粘土に長石・石英などの粉末を混ぜて練り固め、成形・乾燥・焼成した製品の総称。素地きじの状態、焼成温度などによって土器・陶器・炻器せつき・磁器に分けられ、後者ほど焼成温度が高い。

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食器・調理器具がわかる辞典の解説

陶器と磁器の総称。すなわち、土や粉末状の鉱物を練って成形し、素焼きした後、釉薬を施してさらに焼いて作るもの。広義では、釉薬を施すかどうかにかかわらず、陶器・磁器のほか、土器や炻器(せっき)も含めた焼き物の総称としても用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ガラス、セメントとともに窯業製品(セラミック製品)の代表的なものの一つ。粘土またはそれに類似する原料を用い、成形後目的とする性質が得られ、しかもその形状が失われない温度で焼成してできた器物をいう。すなわち、土器から陶器earthenware、(せっき)ware、磁器porcelainに至るすべての焼成品が含まれ、日本で広く使用されている「焼物」の総称である。英名のポッタリーはラテン語の酒杯poteriumに由来する語であるが、現在ではあらゆる種類のセラミック製品に対するきわめて広い意味に用いている。この点「焼物」と同じであるが、空胴容器(深皿、浅皿、コップなど)、あるいは食卓器に限定することもある。さらに天然原料のみを用いた伝統セラミックスtraditional ceramicsの天然原料の一部を合成原料や人工原料で置換してつくった近代セラミックスmodern ceramicsまでを含める場合もある。なお、天然原料や酸化物以外の、炭化物や窒化物などからなる製品を特殊セラミックスspecial ceramicsという場合がある。[素木洋一]

歴史

陶磁器製造技術はきわめて古いことなので、現在その起源を明らかにすることは困難である。おそらく東方の異なった数か国で独自に始まり、徐々に西方に広まったようである。籠(かご)を用い、これに外面から、あるいは内面に粘土を塗り付け、火の上で加熱したのがポッタリーのもっとも古い形式であったようである(新石器時代)。次の時代に出現したのが紐(ひも)造りである。中国では紀元前2400年ころからろくろの使用が始まった。いくらか後期に、エジプト人、アッシリア人、ペルシア人が精陶器をつくり、中国人がもっとも重要な陶工になった。西方ではギリシア人が覇権を握っていた時代に非常に高度な陶芸をおこした。ヨーロッパと近東におけるマジョリカとファイアンスの製造、および中国における最初の磁器およびその後のヨーロッパでの磁器の製造は、結局は新しい陶磁器の製造をもたらした。
 陶磁器は、〔1〕その有用性、〔2〕その美しさ、〔3〕この両者と品質の結び付き、の3点から考究する必要がある。東洋では単に美を目的とし、その品質はその上につけた装飾を引き立てるにすぎない。これとは反対にヨーロッパの陶磁器は、美しい形態をもった有用性と装飾とがいっしょになったものである。しかし現代および過去の陶磁器の芸術的な真価に対する意見には多くの相違がある。多くの人々は現代製品に対して不必要に軽視し、古い製品に対して過度に賞賛することは洋の東西を問わずいえることである。
 陶磁器に皿とか壺(つぼ)とか瓶(びん)というような名称がついているのは、それぞれ使用目的があるからで、それを引き立てるために装飾がついているものである。したがって、それらの目的のために素地(きじ)の質が制限され、使用される装飾、あるいは釉(ゆう)(うわぐすり)や顔料(がんりょう)も制限されることになる。たとえば、直火(じかび)にかける目的をもった素地では耐熱性が第一に要求され、食品に対しては有害な原料の使用は避けなければならない。釉および陶磁器彩飾の物質については「うわぐすり」の項目を参照されたい。[素木洋一]
『素木洋一著『図解工芸用陶磁器――伝統から科学へ』(1970・技報堂出版) ▽素木洋一著『セラミックスの技術史』(1983・技報堂出版)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 粘土を主とする陶石・絹雲母・長石・石灰石・珪石・ドロマイトなどの原料鉱物の粉末を水で練り、成形・焼成してつくった焼結製品の総称。素地(きじ)の種類・焼成温度・焼き締まりの程度などにより、土器・陶器・炻器(せっき)・磁器に大別される。陶・磁器には釉(うわぐすり)を施す。陶磁。
※丸善と三越(1920)〈寺田寅彦〉「陶磁器漆器鋳物其他大概のものはある」

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

粘土・長石・ケイ石などを主原料にした焼き物の総称。焼成温度・釉薬 (ゆうやく) の有無により,土器・陶器・炻器 (せつき) ・磁器に分かれる
無釉・吸水性の土器はその形状以外には変化に乏しいが,陶器以下は釉薬によって多彩な焼き物となる。中国では唐代に釉薬の発展がめざましく,青磁白磁・唐三彩などが有名で,宋・明代には完成された技術によって,景徳鎮 (けいとくちん) を中心に周辺諸国やヨーロッパにまで輸出された。エジプトメソポタミアでは前1500年ごろから有釉陶器が用いられ,浮き彫りタイルやモザイクとしてイスラーム時代にひきつがれた。ヨーロッパの陶磁器は,イスラーム・中国・日本の影響によって18世紀以降にドイツを中心にイギリス,フランスなどで発達した。日本は中国にをとり,江戸時代には有田焼など特色のある陶磁器をつくるようになった。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

一般に素焼の土器に対し釉薬 (うわぐすり) をかけた陶器と磁器の総称
焼成度が,陶器は1000℃前後で柔らかく,磁器は1200℃前後で硬く半透明。奈良時代から陶器は存在するが,古来の土師器 (はじき) ・須恵器 (すえき) が一般的であった。鎌倉中期,加藤景正が宋の製陶法を伝え瀬戸焼を創始。豊臣秀吉の朝鮮侵略により,朝鮮陶工が多数連行されてきたため,陶業は飛躍的に発展。楽焼・上野 (あがの) 焼・薩摩焼・唐津焼などがおこり,侘 (わ) び茶の影響を反映した作品を生んだ。磁器は有田焼(伊万里焼ともいう)から九谷焼・瀬戸焼に波及幕府・諸藩の保護で各地に名産地が生まれ,特に有田・瀬戸・九谷などでは茶器のみでなく日用品もつくり発展した。

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