日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブッポウソウ目」の意味・わかりやすい解説
ブッポウソウ目
ぶっぽうそうもく
鳥綱の1目。この目Coraciiformesは通常、カワセミ科Alcedinidae、コビトドリ科Todidae、ハチクイモドキ科Momotidae、ハチクイ科Meropidae、オオブッポウソウ科Leptosomatidae、ブッポウソウ科Coraciidae、ヤツガシラ科Upupidae、カマハシ科Phoeniculidae、サイチョウ科Bucerotidaeの9科に分類される。これらの諸科の鳥は外形態、とくに体形と嘴(くちばし)が科によって著しく異なっているが、共通の特徴として、足指が合趾足(がっしそく)ないし半合趾足である。すなわち、3本の前趾の全部または少なくとも2本が基部で互いに癒着している。ただし、癒着の程度は科によってまちまちで、カワセミ科とハチクイ科で合趾足化がもっとも著しい。合趾足の適応的意義は明らかではないが、歩行足でも遊泳足でもないから、樹上生活への適応と考えなければならない。しかし、ブッポウソウ目の鳥のなかには、地上で採食するなど、部分的に地上生活をするものが少なくない。生活様式は、外形態の違いほど科によって違っていない。すなわち、ほとんどが樹洞か土手の穴などの中に産卵し、卵は白色で、雛(ひな)は裸で生まれ、晩成雛である。食性は、完全な動物食か動物食を主とする。ブッポウソウ目は明らかに雑多な分類群であるが、おそらくキツツキ目やスズメ目と共通の祖先をもち、しかも祖先の特徴を比較的多く残していると考えられる。
[森岡弘之]