日本大百科全書(ニッポニカ) 「キツツキ目」の意味・わかりやすい解説
キツツキ目
きつつきもく
鳥綱の1目。この目Piciformesは、普通キリハシ亜目Galbulaeとキツツキ亜目Piciに分かれ、前者にはキリハシ科Galbulidae、オオガシラ科Bucconidae、ゴシキドリ科Capitonidae、ミツオシエ科Indicatoridae、オオハシ科Ramphastidaeの5科が、後者にはキツツキ科Picidae1科が属する。これらの諸科は、キリハシとオオハシとキツツキを比べると明らかなように、外形態はかなり異なっているが、一般に樹上生活への高度の適応を示し、共通の特徴の一つとして足の第2趾(し)と3趾が前向き、第1趾と4趾が後ろ向きの対趾足である。食性は、オオハシとゴシキドリは主として植物食であるが、その他は昆虫食のものが多い。ミツオシエ類はハチの幼虫や蝋(ろう)を好んで食べる特殊な食性がある。また、この目の鳥のほとんどが自分でうがった、あるいは天然の樹洞やその他の穴の中に産卵し、キリハシ科以外は雛(ひな)は裸で生まれ、幼綿羽をもたない。卵はみな白色で、穴に営巣する習性が非常に古いものであることを示している。ただし、ミツオシエ科の卵は白色であるが、この科の鳥はキツツキ、ゴシキドリ、ヤツガシラ、ハチクイといった、穴に営巣する鳥の巣に托卵(たくらん)する習性がある。他の目との類縁関係はかならずしも明らかではないが、ブッポウソウ目にいちばん近いと考えられる。
[森岡弘之]