日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブンブクウニ」の意味・わかりやすい解説
ブンブクウニ
ぶんぶくうに / 文福海胆
heart-urchin
棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱ブンブク目Spatangoidaに属する海産動物の総称。変わった形のウニのグループで、殻はいびつに膨れ、表面が獣類の体毛のような棘(とげ)で覆われている。タヌキが化けた伝説の文福茶釜(ちゃがま)に見立てて名づけられたもの。英名は心臓形のウニの意で、棘を取り去った殻の形にちなむ。大きさは直径2センチメートルから20センチメートルぐらいのものまである。色は茶色または紫色のものが多く、白っぽいものもある。普通のいがぐり型のウニと異なる点は、体が左右相称で前後の区別があること、殻上面に呼吸のための花びら模様があること、餌(えさ)をかみ砕くための口器、つまりウニ特有の「アリストテレスの提灯(ちょうちん)」をもたないことなどである。口は殻下面の前方に、肛門(こうもん)は後端に位置し、棘は多少とも後ろ向きに曲がって生えている。ほとんどのものが砂泥中に深く潜って生活し、砂泥中の微生物や腐食物を餌としている。日本近海からは約40種が知られる。
[重井陸夫]