文福茶釜(読み)ブンブクチャガマ

デジタル大辞泉 「文福茶釜」の意味・読み・例文・類語

ぶんぶく‐ちゃがま【文福茶釜/分福茶釜】

《「ぶんぶく」は茶の沸き立つ音を擬して、それに当て字したもの》群馬県館林市の茂林寺に伝わる茶釜。伝説では、守鶴という老僧の愛用していた茶釜が、くんでもくんでも湯がなくならないので不思議がられていたが、住持によって、守鶴がたぬき化身であることを見破られ、守鶴は寺を去ったという。
ブンブクチャガマ科のウニ。海の砂泥底にすむ。殻は心臓形で平たく、長径7センチくらいで、表面獣毛のような茶色のとげが密生する。本州中部以南に分布

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改訂新版 世界大百科事典 「文福茶釜」の意味・わかりやすい解説

文福茶釜 (ぶんぶくちゃがま)

群馬県館林の茂林寺に伝わる茶釜の話は広く知られている。ムジナ寺僧に化けて,くんでも湯の尽きない茶釜をどこからか持ってくる。福を授けることから分福茶釜と称される。後に茶釜は寺宝になるという話である。茶釜が寺と結びついた伝説は他にも例がある。昔話の文福茶釜には二つの型がある。寺の小僧が茶釜をこすると,痛いぞと声をかける。火にかけると手足が現れてタヌキになって逃げて行くという筋になっている。この話は江戸時代の赤本にある。早くから笑話化して伝えられてきたものであろう。もう一つの型は,爺に危難を救われたキツネ(タヌキ)がその恩返しに茶釜,遊女,馬などに化けて売らせては富を与えるという動物報恩型の話である。爺は博労ばくろう)になっている例が多い。もともとあったこの話から茶釜だけが独立して,童話化されたのが前者の型であろう。また寺の縁起などと結びついて伝説化したものが茂林寺の話であると考えられる。
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百科事典マイペディア 「文福茶釜」の意味・わかりやすい解説

文福茶釜【ぶんぶくちゃがま】

タヌキかキツネが貧しい男の好意にむくい,茶釜に化けて寺へ売られていく昔話。文福は茶釜の湯がわく音の擬音。群馬県館林の茂林(もりん)寺が有名だが全国的に分布。釣鐘に化けて寺へ売られたり,馬や美女に化けて長者に売られる話にもなっている。
→関連項目館林[市]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「文福茶釜」の解説

文福茶釜 (ブンブクチャガマ)

学名:Schizaster lacunosus
動物。海産動物

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世界大百科事典(旧版)内の文福茶釜の言及

【魔法使いとその弟子】より

…原郷土はペルシアと考えられている。日本の〈文福茶釜〉は,息子が変身して父が売る部分が笑話化したものと考えられる。【小沢 俊夫】。…

※「文福茶釜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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