改訂新版 世界大百科事典 「プラーサートーン」の意味・わかりやすい解説
プラーサートーン
Prasatthong
生没年:1600-56
タイのアユタヤ朝の王。在位1630-55年。1630年国王派の山田長政らの政敵を一掃し,幼帝アーティットヤウォンから王位を奪,即位してプラーサートーン王家の始祖となった。同王以後,アユタヤにおける日本人の商業勢力は壊滅した。王の強力な貿易独占政策は,貿易実務を遂行する各分野のなかに多数の華僑を参入させる結果をもたらしたが,王室の貿易独占策にもかかわらず,アユタヤに商館を置くオランダ東インド会社は,その海軍力を背景として活発な貿易活動を行った。王は25年におよぶ在位中,国内法の整備に意を用い,〈控訴法〉〈相続法〉〈負債奴隷法〉〈負債法〉などの新法を定めた。王のときアユタヤはカンボジアに対する宗主権を回復したが,それとともに首都にアンコール・ワットの模型が建設されるなど,カンボジアの文化的影響が増大した。
執筆者:石井 米雄
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