改訂新版 世界大百科事典 「プロウォカティオ」の意味・わかりやすい解説
プロウォカティオ
provocatio
古代ローマ共和政期に,市民はディクタトルを除く高級政務官による死刑や笞刑,さらに高額の罰金刑の宣言に対し,民会ないし所管法廷に提訴する権利を有した。この提訴をプロウォカティオといい,これは外国人と区別してローマ市民の基本的人権を保障する特権であった。その起源は共和第1年(前509年とされる)のウァレリウス法と伝えられるが,これは疑わしく,前300年とする説もある。当初この特権を行使できる範囲は,ローマ市域内に限られていたが,前2世紀初頭のポルキウス法により,それはローマ市域外(イタリアおよび属州)の市民にも適用されることになった。帝政期には,ローマ市民は皇帝に提訴する権利をもった。
執筆者:平田 隆一
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