プロウォカティオ(その他表記)provocatio

改訂新版 世界大百科事典 「プロウォカティオ」の意味・わかりやすい解説

プロウォカティオ
provocatio

古代ローマ共和政期に,市民はディクタトルを除く高級政務官による死刑笞刑,さらに高額の罰金刑の宣言に対し,民会ないし所管法廷に提訴する権利を有した。この提訴をプロウォカティオといい,これは外国人と区別してローマ市民の基本的人権を保障する特権であった。その起源は共和第1年(前509年とされる)のウァレリウス法と伝えられるが,これは疑わしく,前300年とする説もある。当初この特権を行使できる範囲は,ローマ市域内に限られていたが,前2世紀初頭のポルキウス法により,それはローマ市域外(イタリアおよび属州)の市民にも適用されることになった。帝政期には,ローマ市民は皇帝に提訴する権利をもった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 平田

ローマ法王ともいう。ラテン語 Papaの称号はカトリック教会首長としてのローマ司教 (教皇) 以外の司教らにも適用されていたが,1073年以後教皇専用となった。使徒ペテロの後継者としてキリスト自身の定...

教皇の用語解説を読む