プロトン磁力計(読み)プロトンじりょくけい(その他表記)proton magnetometer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロトン磁力計」の意味・わかりやすい解説

プロトン磁力計
プロトンじりょくけい
proton magnetometer

プロトン核磁気共鳴を利用する磁力計。普通は水素の陽子つまりプロトンを用いる。その場合の共鳴周波数を f磁場の強さを H とすれば H=(2.34860±0.00006)×10-4f エルステッドである。絶対測定ができるので校正の不要な磁力計として,特に強磁場の測定に盛んに用いられてきた。信号の大きさは磁場の 3/2 乗に比例して減少するので,磁束密度 10-2T 以下の測定は困難になってくるが,パルス法を用いて 10-9T 程度の小さい磁場の測定が可能になる。

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世界大百科事典(旧版)内のプロトン磁力計の言及

【磁気探査】より


[磁場の測定]
 磁場はベクトル量であるが,磁気探査では通常磁場の強さを測定しており,この測定器を磁力計という。磁力計にはいろいろなタイプがあるが,探査によく用いられているのはプロトン磁力計である。プロトン磁力計は,磁場中に置かれたプロトンの歳差運動の周期がその磁場の強さに比例するという性質を用いたものであり,航空機や船舶に搭載して精度よく磁場を測定することが可能である。…

【磁束計】より

…このほか磁束変化によって発生する電圧を電圧計で表示する磁束計がある。また単位面積当りの磁束,すなわち磁束密度を測定する測定器として,ホール効果を利用したガウスメーター,磁気変調器を使用したフラックスゲート形磁力計,核磁気共鳴を利用したプロトン磁力計などがある。プロトン磁力計は,プロトンのジャイロ磁気比と歳差信号周波数から磁束密度を求めるもので,精密かつ標準的な方法である。…

【磁力計】より

…人工衛星による観測や海底磁力計としても使用されている。(4)は水素の原子核の磁気共鳴を利用し,プロトン磁力計という。精度が良く,小型なため,地磁気観測に広く使用されている。…

※「プロトン磁力計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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