デンマークの物理学者,化学者。ランゲラン島のルズケビングの生れ。コペンハーゲン大学で天文学,物理学,数学,化学,薬学を学び,1797年卒業。1801年からベルリン,ゲッティンゲン,ワイマールなどヨーロッパ各地をまわり,当時発表されてまもないボルタ電堆に関して多くを学んだ。その際,ガルバーニ電流の化学作用の研究を進めていたJ.W.リッターと知り合ったことから,化学親和力と電気の関係に興味をもち,04年にパリから帰国後,電気化学の研究に取り組んだ。06年コペンハーゲン大学の物理学の員外教授,17年正教授になり,20年,電流を通じた針金の傍らにおいた磁針はその電流によって力を受けるという電流の磁気作用を発見した。この発見は直ちにD.F.J.アラゴー,A.M.アンペール,J.L.ゲイ・リュサックらにより追実験され,M.ファラデー,W.E.ウェーバーらの研究も促して,電気力学,さらには電磁気学形成への道を開いた。このほか,25年には初めて塩化アルミニウムを分離し,これによりF.ベーラーによる最初の金属アルミニウムの単離に貢献したといわれる。科学の振興にも力を注ぎ,科学振興協会や地磁気観測所を設置し,29年にはコペンハーゲン工科大学を設立し学長となった。また文学にも通じ,童話作家のアンデルセンを支援した。なお,弟のアネルス・サンデーAnders Sandöe Ørsted(1778-1860)は53年デンマーク首相となっている。
執筆者:田中 国昭
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CGS単位系の磁化力、または磁界の強さの単位。4π分の1000アンペア毎メートル(103/4π)A/mの磁界の強さをいう。記号はOeで表す。この単位は1930年の国際電気標準会議で定められた。名称はデンマークの物理学者、化学者エールステッドの業績にちなんでいる。なお、地球の磁界は0.2~0.3エルステッド程度である。
[小泉袈裟勝]
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磁場の強さの単位.記号 Oe.単位磁極に作用する力が1 dyn のときの磁場の強さ.国際単位系(SI単位)の磁場の強さの単位である A m-1 との関係は
1 Oe = (1/4π)×103 A m-1.
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…磁極と磁極との間に働く力を定量的に測定し,その大きさが距離の2乗に反比例することを決定づけたのはC.クーロンである(クーロンの法則)。磁場が電流によっても生ずることを発見したのはH.C.エルステッドで,これを定量的に法則化したのはA.M.アンペールである。また反対に,コイルの中をよぎる磁束の時間的変化によってコイル内に起電力が生ずるという電磁誘導の法則がM.ファラデーによって発見され,このようにして電気と磁気の間に密接な関係のあることが明らかにされていった。…
…つまり,物体に対する力の遠隔的作用という形でそれ以上の説明を拒否する(それが《プリンキピア》におけるニュートンの〈我は仮説をつくらず〉という言明の真意であった)ことに満足できないような状況が,19世紀に入ると生まれてきたのである。
[場の概念の登場と展開]
1820年H.C.エルステッドが電流の磁石に対する影響を明証する事実を発見した。電流を流した電線の傍らに磁石を置くと,電流の方向に対して直角に(もしくは円環をなすように)磁石が動く,という事実である。…
※「エルステッド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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