改訂新版 世界大百科事典 「ヘキサフェニルエタン」の意味・わかりやすい解説 ヘキサフェニルエタンhexaphenylethane 芳香族炭化水素の一つ。1900年にゴンバーグMoses Gombergによって初めて合成された化合物。アセトンなどから再結晶すれば無色の結晶として得られる。融点145~147℃(分解をともなう)。溶液にすると,一部がトリフェニルメチル遊離基に解離するため黄色を呈する。これは,ふつう安定な炭素-炭素結合が常温でも切断する数少ない例の一つである。この容易な解離は,ヘキサフェニルエタンの6個のフェニル基の空間的こみ合いが解離により解消されるため,および,解離してできる遊離基が3個のフェニル基による共鳴安定化を受けるためと考えられる。執筆者:村井 真二 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by