再結晶
さいけっしょう
recrystallization
(1) 溶解度の差を利用して結晶性の物質の純度を上げる方法の1つ。適当な条件で溶媒に物質を溶かし,温度を下げたり,溶媒を蒸発させたりして,目的とする物質の飽和濃度以上にすると初めの結晶よりも純度の高い結晶が析出する場合がある。
(2) 岩石が風雨にさらされている間に岩石中のある鉱物の結晶が成長し,それが異種鉱物または外来物質と反応し,初めと異なった岩石を生じる現象。
(3) 加工された金属結晶は種々の格子欠陥とそれに伴う内部ひずみをもつが,これを加熱するとひずみエネルギーは原子再配列のための原子運動エネルギーに転化し,新しい方位の結晶核ができて,もとの結晶粒を取込みながら成長し,組織は新しい無歪の結晶粒組織に交代する。これを再結晶 (または一次再結晶) という。加工変形量が大きいほど再結晶は低温で起り,新核発生数も多くなって再結晶組織は微細になり,材料は良好な機械的性質を示すので,これを利用して鍛造や圧延による調質が行われる。逆に加工量が小さいと再結晶温度は高くなり,核発生数は少く,再結晶組織は粗大になる。これは単結晶作製に利用される。通常再結晶温度というのは,加工度が十分大きいときの最低再結晶温度である。また一次再結晶終了後に粒界エネルギーの解放を駆動力として少数の結晶粒が選択的に成長する現象を二次再結晶という。 (→回復 )
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さい‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【再結晶】
結晶を溶かし、その溶液を再び結晶させること。結晶中の不純物が除かれるので物質の精製に利用される。
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再結晶【さいけっしょう】
溶解度の差を利用して結晶性物質を精製すること。精製しようとする固体を適当な溶媒に溶かして高い温度で飽和溶液をつくり,これを徐々に冷却すると,温度差による溶解度の違いから溶質が再び結晶として析出し,少量の不純物は,目的とする成分と混晶や錯化合物をつくらない限り,飽和に達しないまま溶液中に残る。この操作を何度も繰り返すことにより純度の高い結晶を得ることができる。
→関連項目分別結晶
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再結晶
物質を精製する目的で溶液から結晶を作らせるが,それを繰り返して純度を上げること.
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さいけっしょう【再結晶 recrystallization】
溶解度の差を利用して結晶性物質を精製すること。すなわち精製しようとする固体を,適当な溶媒に加熱して溶かすか,あるいは濃縮して飽和溶液とし,これを徐々に冷却すると一般に溶質の溶解度が減少して再び結晶として析出してくる。この沈殿をろ過することによって,成分を結晶として精製することができる。溶液中に含まれる少量の不純物は目的とする成分と混晶などをつくって混入してこない限り飽和にならないため溶液中に残る。この操作を繰り返すことによって結晶の純度を高めることができる。
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再結晶
さいけっしょう
recrystallization
結晶性物質が溶液または融体からふたたび結晶として析出する現象、あるいはそのための操作をいう。金属、合金などでは、融点以下の温度における固相反応によって再結晶が進行することもある。
溶液からの再結晶は、高温度の飽和溶液を冷却したり、溶媒を蒸発させて濃縮したり、他の適当な溶媒を加えたりして溶解度を低下させて行う。主として物質精製のために利用される。
融体からの再結晶は、精製手段としてのほか、大形の単結晶を作製する目的で行われることも多い。金属材料の高温焼きなましも再結晶の一種であり、岩石の変成作用においても再結晶がおこる。これらは固相反応による再結晶の例である。
[岩本振武]
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さい‐けっしょう ‥ケッシャウ【再結晶】
〘名〙
① 温度や溶媒による固体の溶解度の差異を利用した結晶性物質の精製法。不純物を含む結晶性物質を溶かして高温の飽和溶液をつくり、これを冷却してそのときの溶解度をこえる分の溶質を結晶として析出させるもの。
② 固相反応で、結晶性物質の融体から大形の単結晶を析出させること。また、その方法。金属原料の高温焼きなまし、岩石の変成作用など。
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再結晶
サイケッショウ
recrystallization
結晶性物質の精製法の一つ.適当な溶媒に高温で試料を溶かして飽和溶液をつくり,高温のまま濾過する.このとき,冷却を防ぐために,しばしばひだ付き沪紙を使用する.濾液を冷却し,析出した結晶を濾過,乾燥する.多くの不純物は高温の母液中に残る.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報