ヘキシトール

化学辞典 第2版 「ヘキシトール」の解説

ヘキシトール
ヘキシトール
hexitol

hexit.C6H14O6(182.17).六価の糖アルコール総称.理論的には4対の光学異性体と2種類のメソ体,計10種類の異性体がありうる.そのすべてが知られているが,天然産のものはD-ソルビトール,D-マンニトールL-イジトールガラクチトールの4種類である.これらは生物界に遊離状または誘導体として分布している.天然物からの抽出のほか,下記の( )内のアルドヘキソースの還元によって得られる.

甘味のある無色結晶で,ガラクチトール以外は水に易溶.フェーリング液を還元せず,変旋光を示さない.酵母によって酸化されない.希硝酸などで穏やかに酸化すると,対応するアルドヘキソース,ケトヘキソース,アルドヘキソン酸の混合物を与えるが,強く酸化すると糖酸を生成する.2,3位(もしくは4,5位)の両ヒドロキシ基がシスの立体配置をもつものは,細菌Acetobacter suboxydansまたはA.xylinumによって選択的に2位(もしくは5位)が酸化されて,対応するケトースを生じる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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