世界大百科事典(旧版)内のヘボン式ローマ字の言及
【国語国字問題】より
…日本語の表記を簡単にやさしくし,正しい日本語を日本人が読み書き話すようにしようとするために生じてくる,種々の文化上の問題をさす。
[問題の発生]
明治初年ヨーロッパと交通が開けてみると,アルファベットの簡単な西洋語にくらべて,日本語が多くの漢字を学習せねばならず,文字学習の負担が大きいことを見て,これを改革しなければならないと考える人々が現れた。それとともに仮名遣いや送り仮名法の問題も考えられ,江戸時代封建制度の下にはなはだしくなった各地の方言を統一して一つの標準語を確立しなければならなくなった。…
【ヘボン】より
…1859年北長老派ミッションの派遣で来日し,神奈川,横浜で開業し,誠実な人柄と優秀な治療で好評を受ける。かたわら《和英語林集成》(1867)を刊行,これに用いたローマ字は後にヘボン式ローマ字として普及した。また,中国宣教師マッカーティーD.B.McCarteeの《真理易知》にふりがなを付し,伝道文書として刊行(1867)。…
【ローマ字】より
…〈横文字〉〈英(文)字〉とも〈アルファベット〉〈ABC〉ともいう。日本以外では〈ラテン文字Latin alphabet〉というのがふつうである。ローマ字はエジプトの象形文字(ヒエログリフ)から発達したともいわれ,例えば,エジプトでは〈家〉を描いた形で,これが〈家〉を意味するbētという語を表すのに用いられた。ローマ字と同源のセム文字では,,のような形(現代アラビア文字ではとなる)になるが,子音が語の基盤になっているセム語の構造から,この文字はbētの初頭のb音だけを表すようになる。…
【和英語林集成】より
…J.C.ヘボン編の和英辞典。1867年(慶応3)刊。日本最初の和英辞典で,ヘボンはキリスト教禁制下にあって,将来の宣教事業に役立てる目的で編集した。英文書名は《A Japanese and English Dictionary;with an English and Japanese Index》。和文書名の命名者はヘボンの5人目の日本語教師岸田吟香である。本書は第9版(1910)まで版を重ね,縮約版と翻刻版がある。…
※「ヘボン式ローマ字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」