日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリボーン作戦」の意味・わかりやすい解説
ヘリボーン作戦
へりぼーんさくせん
heliborne
ヘリコプターとエアボーン(空挺(くうてい))の合成語で、前線の歩兵隊や部隊の展開を、パラシュート降下などではなく、ヘリコプター空輸で行う作戦。第二次世界大戦後にフランスが、インドシナ戦争やアルジェリア戦争で初めて行ったが、この戦法を多用し、またその用法を確立したのは、ベトナム戦争におけるアメリカ軍であった。ヘリコプターによる展開輸送は、目的地に急速に部隊を運んだり、あるいは補充したりでき、また前線の陣地に設営する発着場などの面積が小さくてすみ、拠点の構築が容易に行える。また高い高度からのパラシュート降下に比べ、必要なところに正確に展開が行える。こうした迅速性・柔軟性・正確性がヘリボーンの大きな利点である。他方、戦闘が行われている地域への移動であり、待ち伏せなどを受けやすいという欠点があり、このため武装ヘリコプターを随伴しての火力制圧支援を受けるのが一般的になっている。ヘリボーンは、近代戦での利用範囲が広いことから、世界各国で重視している作戦の一つとなっている。
[青木謙知]