ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
ヘロデス・アグリッパス1世
ヘロデス・アグリッパスいっせい
Hērōdēs Agrippas I; Herod Agrippa I
[没]後44
ユダヤ王 (在位 41~44) 。アグリッパ1世,ヘロデ・アグリッパ1世とも呼ばれる。ヘロデ大王の孫。父がヘロデ大王に処刑されるとローマに送られ,チベリウス帝の子 J.ドルススとともに教育されたが,負債を抱えて各地をめぐり,再びローマに帰ってガイウス・カエサル (カリグラ) との親交を得た。ローマ皇帝となったガイウス・カエサルから 37年に叔父ヘロデス・アンチパスの領地を与えられ,41年ローマ皇帝クラウディウス1世から,従来の領地に加えてユダヤ,サマリアを与えられ,事実上パレスチナ全土の王となった。この間,ユダヤ教を保護してキリスト教徒を迫害し,使徒ペトロを捕え,使徒ヤコブを殺し,エルサレムに新しい城壁を築くとともに,ローマとの友好を深め,ユダヤの自治とローマ権力の調和に力を注いだ。没したときは,息子ヘロデス・アグリッパス2世が 17歳の若さであったため,ユダヤは再び属州に降格された。
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