化学辞典 第2版 「ヘンケル法」の解説
ヘンケル法
ヘンケルホウ
Henkel process
ドイツのHenkel&Cie社が開発したテレフタル酸の合成法で,第一および第二ヘンケル法の2方式がある.第一ヘンケル法はフタル酸のカリウム塩を,二酸化炭素の加圧下,加熱反応させ,テレフタル酸カリウムに異性化させるもので,これを無機酸で処理するとテレフタル酸が得られる.
第二ヘンケル法は,安息香酸のカリウム塩を上記とほぼ同様の条件下で反応させ,テレフタル酸カリウムとベンゼンに不均化させる方式である.
両方式とも触媒として酸化カドミウムがもっとも活性が高いが,工業的には,主として酸化亜鉛が用いられる.ヘンケル法による製品は,純度が高く(約99.5% 以上),エチレングリコールと直接エステル化重合してポリエステル繊維の製造が可能な点で発展した.しかし,p-キシレンの酸化法でも高純度テレフタル酸の製造が可能となったため,現在,わが国ではほとんど行われていない.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報