日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベイマツ」の意味・わかりやすい解説
ベイマツ
べいまつ / 米松
Douglas fir
[学] Pseudotsuga menziesii (Mirbel) Franco
Pseudotsuga taxifolia Britt.
マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉高木。アメリカマツ、アメリカトガサワラともいう。大きいものは高さ100メートル、径3.5メートルに達する。枝は水平に長く伸び、下枝はやや下垂する。樹皮はコルク質をなし、粗く縦裂する。葉は線形で長さ2~3センチメートル、幅1~1.5ミリメートル、先は丸く、香気がある。雌雄同株。4月ころ開花する。球果は下垂し、卵形または狭楕円(きょうだえん)形で長さ5~10センチメートル、径2~3センチメートル、淡褐色で、矢羽形の包鱗(ほうりん)が目だつ。種子は長さ5~6ミリメートル、長い翼があり、10月ころ褐色に熟す。カナダからメキシコの太平洋沿岸に広く分布する。名は、アメリカ産のマツの意であるが、マツ類ではなく、日本のトガサワラの類である。樹皮からしみ出る樹脂を精製して、天然樹脂バルサムの一種オレゴンバルサムをつくる。材はオレゴンパインとよばれ、日本へ多量に輸出されている。材質はよく、建築、船、ベニヤ、パルプ、器具、家具など用途が広く、クリスマス・ツリーにも使われる。
[林 弥栄 2018年5月21日]