日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニヤ」の意味・わかりやすい解説
ベニヤ
べにや
veneer
合板や単板積層材を構成する木材から薄くむかれた板。単板(たんばん)ともいう。ベニヤは張る、かぶせる、うわべを飾るという意味が含まれている。ベニヤ板という用語は、このベニヤを重ね合わせて張り付けた板すなわち合板plywoodをさし、しばしば板を略してベニヤとよぶこともある。しかし、ベニヤ板ということばには、かつての薄く、水に触れるとはがれるという印象があり、最近では厚物や耐水性の高いものも多くなってきたので、合板という用語が一般に使用されるようになった。したがって現在ではベニヤは合板などを構成する単板と定義づけられている。単板はその製造法によってロータリー単板、スライスド単板、ソーン単板、ハーフラウンド単板に区分されている。ロータリー単板はベニヤレースによって丸太から円周に沿って連続的に切削された単板で、合板や単板積層材のほとんどがこれからつくられている。日本ではおもに南洋産広葉樹、北アメリカでは針葉樹から単板が製造されている。スライスド単板はスライサーによって平削りされた単板で、美しい木目などのある表面化粧材を目的とし、化粧単板、突板(つきいた)とよばれることもある。ソーン単板はベニヤ鋸(のこ)によって切断された単板で、スライスド単板と同じような目的でつくられる。ハーフラウンド単板はロータリー単板とスライスド単板の中間的なものである。
[有馬孝]