日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベン・サラー」の意味・わかりやすい解説
ベン・サラー
べんさらー
Ahmad Ben Salah
(1926―2020)
チュニジアの政治家。パリ大学卒業後高校教師になり、1954年にチュニジア労働総同盟(UGTT)の書記長に就任、やがて政界入りした。大統領ブルギバの信任を得て1961年に計画・財政相に就任して以来、経済運営の実権を掌握し一連の社会主義政策を推進した。当時は大統領の後継者とみなされていたが、1969年に失脚し1970年に逮捕された。1973年に脱獄して国外に逃れ、野党「人民統一運動」を組織して反政府運動を継続した。1981年以降、複数政党制への移行とともに同党も合法化されたが、分裂により党勢を弱めた。ベン・サラーは1988年に大統領ベンアリによって恩赦された。チュニジアが社会主義への志向を強めた1950~1960年代を象徴する人物である。
[宮治一雄]