分裂(読み)ぶんれつ

精選版 日本国語大辞典 「分裂」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐れつ【分裂】

〘名〙
一つのものや、まとまっているものが、分かれていくつかになること。
解体新書(1774)三「肺篇〈略〉左右各分裂而為二或為三」
泰西国法論(1868)〈津田真道訳〉三「国乱内変に因て合邦或は分裂し」 〔史記‐始皇本紀〕
生物細胞や核が分かれて細胞や核を新生して増殖すること。〔生物学語彙(1884)〕

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デジタル大辞泉 「分裂」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐れつ【分裂】

[名](スル)
一つのまとまりが、いくつかのものに分かれること。「会が分裂する」「核分裂
生物の一個体が二つ以上の個体に分かれて増殖する無性生殖方法
[類語]分離分解解体分かれる割れる離れる外れる離脱独立外す分ける分割四分五裂遊離隔たる遠ざかる遠のく離隔隔絶乖離かいり切り離す断ち切るちぎれる張り裂ける

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改訂新版 世界大百科事典 「分裂」の意味・わかりやすい解説

分裂 (ぶんれつ)
fission

栄養生殖(無性生殖)の一型式で,母体が二つまたは多数のほぼ等しい部分に分かれ,それぞれが独立した新個体となる生殖法。最も簡単な分裂は細菌,ケイ藻,原生動物など単細胞生物にみられる2分裂で,細胞の分裂が同時に個体の増殖をもたらす。成熟した細胞は分裂によって若返るので,2分裂によって母体が二つの若い個体に転生する単細胞生物には,多細胞生物に宿命的な老衰による個体の死は存在しない。細胞質の分裂をともなわないで核分裂が続行して多核状態となり,その後に核の数に応じて細胞質が等分される分裂を多分裂multiple fissionといい,有孔虫,放散虫,マラリア病原虫などにみられる。多細胞生物の分裂は分体ともいい,腔腸動物や扁形動物渦虫類)などにみられる。渦虫類のプラナリアでは体軸に対して横に分裂するが,体が分離する前に後半部の前方頭部が分化する。このように分裂によって失われるべき部分が分離する以前に形成される場合の分裂をとくに異分割paratomyという。
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普及版 字通 「分裂」の読み・字形・画数・意味

【分裂】ぶんれつ

ひき裂く。ばらばらになる。〔礼記月令〕(季秋の月)令を行ふときは、則ち國に盜多く、邊(やす)からず、土地裂す。

字通「分」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分裂」の意味・わかりやすい解説

分裂
ぶんれつ

(1) division 生物の細胞,組織,または個体がそれぞれの単位で2つに分れること。 (2) fission 二分裂ともいう。特に単細胞の個体が,等価の新2個体に分れること。ゾウリムシアメーバ類イソギンチャク類ナミウズムシ (プラナリア) などにみられる。なお,divisionと fissionの語は,必ずしも十分に区別されないでも用いられる。

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