日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベールンド」の意味・わかりやすい解説
ベールンド
べーるんど
Vlundr
北欧および西ヨーロッパの記録から知られる伝説的名工。『エッダ』によるとベールンドはフィン王の子で、兄のスラグビズ、エギルとともに森で狩りをしていた。そして彼らは白鳥の羽衣をまとった美しい乙女らと出会い、結婚する。しかし9年すると彼女らは立ち去り、1人森に残ったベールンドは黄金によって腕輪を鍛(きた)える。ニャーラルの王ニーズズは、鍛冶(かじ)場で宝を鍛えさせるためにベールンドを捕らえ、逃げられないように膝(ひざ)の腱(けん)を切って沖の島に移す。王を深く恨んだベールンドは、復讐(ふくしゅう)のため2人の王子を殺し、さらに王女を犯して自らつくった翼で空中に飛び上がり、上空から王に仕返しのことばを投げる。
[谷口幸男]