ベールンド(読み)べーるんど(その他表記)Vlundr

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベールンド」の意味・わかりやすい解説

ベールンド
べーるんど
Vlundr

北欧および西ヨーロッパの記録から知られる伝説的名工。『エッダ』によるとベールンドはフィン王の子で、兄のスラグビズ、エギルとともに森で狩りをしていた。そして彼らは白鳥羽衣をまとった美しい乙女らと出会い、結婚する。しかし9年すると彼女らは立ち去り、1人森に残ったベールンドは黄金によって腕輪を鍛(きた)える。ニャーラルの王ニーズズは、鍛冶(かじ)場で宝を鍛えさせるためにベールンドを捕らえ、逃げられないように膝(ひざ)の腱(けん)を切って沖の島に移す。王を深く恨んだベールンドは、復讐(ふくしゅう)のため2人の王子を殺し、さらに王女を犯して自らつくった翼で空中に飛び上がり、上空から王に仕返しことばを投げる。

[谷口幸男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android