日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペリカンアンコウ」の意味・わかりやすい解説
ペリカンアンコウ
ぺりかんあんこう
Johnson blackdevil
[学] Melanocetus johnsonii
硬骨魚綱アンコウ目クロアンコウ科に属する深海魚。北緯60度~南緯53度の間の太平洋、インド洋、大西洋に広く分布し、日本では東北地方の太平洋、沖ノ鳥島で採集記録がある。雌は体が球形に近く、皮膚は滑らかである。口は大きく上に向かって開く。上顎(じょうがく)の歯は犬歯状で、下顎に数本の大きな牙状の歯がある。吻(ふん)の上に短い竿がある。ルアーは丸く、頂部にいぼ状突起と皮弁がある。雌では体長15センチメートル、雄では体長2.8センチメートルほどになる。繁殖期には雄が雌に噛みつき付着するが、その期が過ぎると雌から離れる一時付着型。2300メートル以浅にすみ、プランクトンネット、中層トロール網、底引網にまれに入る。近縁種にペリカンアンコウモドキMelanocetus murrayiがいるが、ルアーにいぼ状突起や皮弁がないことで区別できる。
[尼岡邦夫]