改訂新版 世界大百科事典 「ペリゴール文化」の意味・わかりやすい解説
ペリゴール文化 (ペリゴールぶんか)
ペイロニDenis Peyrony(1869-1954)が1933年,仮説的に唱えたフランスのペリゴールを中心とする後期旧石器時代文化。刃つぶしを施す技術を石器製作の特色として,シャテルペロン文化(ペリゴール文化第I期)とグラベット文化(同第Ⅳ期)をつなぎ,年代的にその中間におかれたオーリニャック文化と並行発展するとされた。隣接して存在する文化が,数千年の間互いに交流なく,影響もうけあわなかったと考えられた。その後第Ⅱ期はオーリニャック文化と同じものであることがわかり,さらにドルドーニュ地方のパトー岩陰の発掘の結果,第Ⅲ期とされた文化は層位的に第Ⅴ期の後にくることが明らかにされた。ここにペリゴール文化仮説は成立しないことになった。しかし第Ⅳ期以後,ソリュートレ文化までの,Ⅳ~Ⅶ期をまとめてペリゴール文化後期と呼ぶことがしばしばあり,オーリニャック文化とのつながり方が問題とされている。
執筆者:山中 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報