ペルー神話(読み)ペルーしんわ(その他表記)Peruvian myths

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルー神話」の意味・わかりやすい解説

ペルー神話
ペルーしんわ
Peruvian myths

現在のペルーおよびボリビア西部を中心に,南アメリカのアンデス山地と太平洋岸の先住民の神話。 13~16世紀にそこに栄えたインカ帝国の伝承などがスペインの征服者などの記録を通して残り,今日に伝わっている。最高神は創造の神で,ビラコチャ,コン・ティキ,パチャクチャクなどと称され,白い肌をもつ。南方から来て,天地を創造し,人間に生きる方法を教えたのち北方へ行方知れず旅立ったという。皇帝や貴族に尊崇されたが,庶民はアニミズムトーテミズムを信じ,パチャカマと称する地母神信仰が盛んであった。太陽,月,星,雷などはビラコチャの下僕とされたが,太陽はインカ祖先として特に帝国で尊崇され,首都クスコに神殿があった。ママキーヤという月の女神は暦や労働に関係し,星に対する神話も多く,動物にはそれぞれ守護星がいるとされた。死後の世界は天上にあり,勇者はやさしい道を通ってそこへ行くとされ,一説によれば貴族以外はそこへ行けないともいわれている。

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