改訂新版 世界大百科事典 「ホッサールト」の意味・わかりやすい解説
ホッサールト
Jan Gossaert
生没年:1478ころ-1532ころ
フランドルの画家。生地名から〈マビューズMabuse〉の通称がある。数年間ブリュージュで働いた後,1503年アントウェルペン(アントワープ)で自由親方に登録。若いころはファン・デル・フースやダーフィトの影響をうける。08年から09年末までブルゴーニュ公フィリップに随伴してローマに滞在中,古代芸術に感激する。以後の彼は,政治家,地理学者グイッチャルディーニL.Guicciardiniによると〈イタリアからネーデルラントに物語的・詩的主題を裸体人物とともにもたらした最初の画家〉(1567),すなわちアントウェルペン・マニエリストの代表者の一人となる。フィリップの後,同公アドルフに仕えたが,人物表現(心理描写や身体性)に非凡な才能をもつ彼は公以外にも,カール5世,マルガレーテ総督,デンマーク王クリスチャンその他富裕な市民たちから肖像画の注文を多くうけた。
執筆者:森 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報