改訂新版 世界大百科事典 「ダーフィト」の意味・わかりやすい解説
ダーフィト
Gerard David
生没年:1460ころ-1523
ネーデルラントの画家。1484年以来ブリュージュに定住。94年のメムリンク没後,指導的な画家として同市の公的依頼を受け(市庁舎用の《カンビュセス王の判決》),修道院,名士の家族のために祭壇画を制作。様式はヤン・ファン・アイクやR.ファン・デル・ウェイデンの影響を受けながらも,〈聖母子〉画に,より親しみやすい家庭的雰囲気を導入した。なお明快な空間区分の中に置かれた人物は彫塑的で立体感に富み,聖人や寄進者は謹厳かつ誠実な態度,婦人や少女たちは修道女のような敬虔な面ざしを備える。当時ブリュージュで国際的需要を満たしていた写本彩飾にも重要な仕事を残す。15世紀ネーデルラントの〈伝統の番人〉(フリートレンダー)といわれる。
執筆者:森 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報