改訂新版 世界大百科事典 「ポリウレタン繊維」の意味・わかりやすい解説
ポリウレタン繊維 (ポリウレタンせんい)
polyurethane fiber
ポリウレタンはウレタン結合で結ばれた高分子であるが,その繊維はスパンデックス繊維(弾性繊維)である。ソフトセグメントと呼ばれる非常に柔軟なゴム状の長い部分と,ハードセグメントと呼ばれる強い分子間力をもつ堅い部分が1本の高分子主鎖を形成している。通常は丸まった状態にあるソフトセグメントは,延ばされると伸びきった状態にまでなることができて,力が解放されると元に戻る(〈化学繊維〉の項参照)。ソフトセグメントはポリテトラヒドロフランから成り,その両末端にイソシアナート基をつけて次のようなポリマーをつくり,
OCNRNHCOO(CH2CH2CH2CH2O)n・
OCONHRNCO
これとジアミン,たとえばヒドラジンNH2NH2と反応させて,図に示すような高分子をつくる。最終反応はジメチルホルムアミド溶液中で行い,この溶液からポリウレタン繊維は乾式紡糸される。ゴムより強くて軽いので,より軽量のベルト,ガードル,ブラジャー,外科用包帯,靴下止めとして広く用いられている。
執筆者:瓜生 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報