化学繊維(読み)かがくせんい(英語表記)chemical fibre; manmade fibre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学繊維
かがくせんい
chemical fibre; manmade fibre

人造繊維ともいう。化学的に合成または加工してつくった繊維。無機人造繊維としては金属繊維ガラス繊維岩石繊維,鉱滓繊維があり,再生人造繊維としては,セルロース系,蛋白質系があり,半合成繊維としてはアセテート人絹,酢酸スフのようなセルロース系,合成繊維としては,ナイロンのようなポリアミド系,テトロンテリレンのようなポリエステル系,サランのようなポリ塩化ビニリデン系,カシミロンのようなポリアクリロニトリル系のものなどがある。

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百科事典マイペディアの解説

化学繊維【かがくせんい】

化繊,人造繊維とも。天然繊維に対し,天然または合成の高分子物質を原料として人工的につくられる繊維の総称。天然高分子物質を原料とする再生繊維半合成繊維と,合成高分子物質を原料とする合成繊維に分類される。また俗に化繊という場合にはセルロース系再生繊維のみをさすこともある。化学繊維の研究は絹を人工的につくろうという夢から始められ,幾多の努力の結果1885年シャルドンネが最初の化学繊維である人絹の製造に成功,1891年フランスに初めての人絹工場を設立した。また1890年にドイツで銅アンモニアレーヨンが,1892年英国でビスコースレーヨンが発明され,それぞれ1899年,1904年に工業化された。第1次大戦中に不燃性航空機塗料として用いられていたアセチルセルロースを応用して第1次大戦後英国でアセテートレーヨン(アセテート繊維)が工業化され,1930年以後米国で急速に発展した。そしてシュタウディンガーの研究を機として高分子の研究が盛んに行われるようになり,カロザーズナイロンを発明(1938年デュポン社より発表),ここに絹に代わる合成繊維の出現をみた。以後石油化学工業の発展に伴い各種合成繊維の発明が相次いだ。ビスコースレーヨンなど従来の化学繊維も樹脂加工その他各種の加工により品質の改良がなされる一方,長繊維(フィラメント)としてだけでなく短繊維(ステープルファイバー)としての利用も盛んに行われるようになり,天然繊維に代わる化学繊維の目ざましい発展が遂げられた。→繊維繊維工業
→関連項目織物工業化学繊維紙小倉織繊維機械

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世界大百科事典 第2版の解説

かがくせんい【化学繊維 man‐made fiber】

天然繊維に対して人工的に作られる繊維の総称。略して化繊ともいう。人造繊維ともいうが,これは狭義には合成繊維を除いた人工的な繊維に使われる。化学繊維は,合成繊維,半合成繊維,再生繊維,無機繊維に分類される。表に化学繊維の分類を示す。
【歴史】
 繊維を人工的に作ろうというアイデアは古くからあったが,具体化されたのは19世紀に入ってからである。綿のような安価なセルロース系天然繊維から高級な絹に似た人工繊維(人造絹糸,略して人絹ともいう)を作ろうという努力が始まった。

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大辞林 第三版の解説

かがくせんい【化学繊維】

石炭・石油などの原料から化学的に合成、または天然繊維を化学的に加工して作った繊維の総称。合成繊維・半合成繊維・再生繊維・無機繊維など。化繊。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

化学繊維
かがくせんい
chemical fiber

天然繊維に対し人間が化学的手段を用いて形成する繊維で、人造繊維ともいう。ただし人造繊維という語を狭義に用いるときには、化学繊維のなかから合成繊維を除いたものをいう。
 狭義の人造繊維である再生繊維は、天然の高分子物質である繊維素(セルロース)をはじめ、動植物のタンパク質を人工的に変成して繊維の形にしたものであり、ビスコース法レーヨンやスフ(ステープルファイバー)、銅アンモニア法のキュプラ(日本での商品名ベンベルグ)や、牛乳のカゼインやダイズからの繊維などがある。
 合成繊維のうちの純合成繊維は、分子量の小さい化学物質を人工的に繊維を形づくる程度の高分子物質に合成し、繊維の形にしたもので、数多く発表されているが、ナイロン、芳香族ナイロン(アラミド繊維)、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロン)などが生産量も多い。また、半合成繊維は、原料は天然高分子物質である繊維素を、化学薬品で処理して繊維素の化学的誘導体としてから繊維の形に紡糸したもので、代表的な製品にアセテートがある。
 無機質繊維は、プラスチックと組み合わせていわゆるFRP(Fiber Reinforced Plastics繊維含浸プラスチック、繊維強化プラスチックともいう)となる。金属に対抗するじょうぶなプラスチック材料であり、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン(ホウ素)繊維、アルミナ繊維などが研究、実用化されており、その発展が著しい。[垣内 弘]
『大原総一郎著『化学繊維工業論』(1961・東京大学出版会) ▽H・F・マーク、S・M・アトラス編、石井欣造・温品謙二訳『化学繊維』1~3(1970、71・丸善) ▽日本化学繊維協会編・刊『日本化学繊維産業史』(1974) ▽安田武著『化学繊維――人類の夢に挑む高分子の科学』(1979・講談社) ▽大沼亥久三他編『繊維』3訂版(1986・東京電機大学出版局) ▽日本化学繊維協会編『化学繊維の実際知識』(1986・東洋経済新報社) ▽阿河利男他著『有機化学』第6版(1988・朝倉書店) ▽日本化学会編『一億人の化学6 ファッションと化学』(1992・大日本図書) ▽文化出版局編・刊『最新の衣料素材 化学繊維編』(1993) ▽桜内雄二郎著『プラスチック技術読本』全面改訂版(1993・工業調査会) ▽上野和義他著『繊維のおはなし――天然繊維から機能性繊維まで』(1998・日本規格協会) ▽日本化学繊維振興会編・刊『化学繊維振興会50年のあゆみ』(1999) ▽日本化学繊維振興会編・刊『日本化学繊維振興会創立50周年記念 化学繊維産業年表――50年のあゆみ』(1999) ▽井本稔著『化学繊維』改訂版(岩波新書)』

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世界大百科事典内の化学繊維の言及

【繊維】より

…799年に三河地方に漂着したインド人が綿の種子を伝えたが,栽培はうまくいかず,16世紀になってようやく綿花の栽培が各地で成功し,綿布が作られるようになり,庶民の衣生活は向上したのである。 20世紀に入り,世界の工業国で化学繊維が生産されるようになった。まず,第1次大戦後からレーヨンが大量に生産されるようになり,化学繊維の工業化の道を開いたが,耐水強度が低いという欠点をもっていた。…

※「化学繊維」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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