伸縮性の大きい弾性繊維.加硫ゴムのように大きな伸長性と回復性をもたせるため,分子内に屈曲性の低融点の柔らかいセグメントと,これらを結びつける高融点の硬いセグメントからなるブロック共重合物である.そのような組合せは多数考えられるが,現在,市場にでているスパンデックスは柔らかいセグメントにポリエーテル,ポリエステルのウレタンブロックを用い,硬いセグメントに芳香族尿素ブロックを用いている.分子間の結合か所はウレタンによる水素結合などが形成されるか,化学的網目状構造が形成される.このようにスパンデックスの製造方法は種々さまざまであり,したがって原料も一定していない.おもに考えられるのは,屈曲性セグメントになるポリウレタン含有初期線状中間ポリマーを鎖成長剤によって結合させ,線状または網目状の巨大ポリマーを得る方法である.ポリマーを得る重合反応は,紡糸工程中,繊維形成後の後処理において行われる.スパンデックスの伸縮性は天然ゴム糸に類似しているが,これよりすぐれた点が多い.耐クリーニング性,耐候性,耐薬品性,染色性,熱加工性においてゴム糸よりすぐれている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
高度の伸長・収縮性をもつゴムに類似したポリウレタン弾性糸。このような性質は本質的な化学構造に由来し,ストレッチ・ナイロンのように特殊な形の巻縮やツイストをしたフィラメントの形態によるのではない。この繊維は15~30デニールの細さ,すなわちラテックスから紡糸するゴム糸より1/10~1/20の細さに作ることができる。ゴム弾性をもつポリテトラヒドロフランから成るソフトセグメントを,集合して堅い部分を形成するハードセグメントで固定した,高分子鎖から成るある種のスパンデックスはできている。製造は低分子量ポリマーを結合させ,途中で繊維に紡糸し,最終的に伸縮性を付与し架橋させて弾性繊維とする工程から成り立つ。ベルト,ガードル,ブラジャー,コルセット,靴下留め,外科用伸縮包帯など広い用途をもつ。
執筆者:瓜生 敏之
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…ケミカルレースの基布に水溶性のビニロンが使われる。
[ポリウレタン系]
ゴムのようによく伸び元に戻る性質をもつ繊維をスパンデックスspandex繊維というが,ほとんどがポリウレタンでできている。ポリウレタンは二つの成分,すなわちゴムのように柔らかい部分であるソフトセグメントと,分子の動きが抑えられている堅い部分のハードセグメントから成る(図2)。…
…ケミカルレースの基布に水溶性のビニロンが使われる。
[ポリウレタン系]
ゴムのようによく伸び元に戻る性質をもつ繊維をスパンデックスspandex繊維というが,ほとんどがポリウレタンでできている。ポリウレタンは二つの成分,すなわちゴムのように柔らかい部分であるソフトセグメントと,分子の動きが抑えられている堅い部分のハードセグメントから成る(図2)。…
…加撚・解撚法,擦過法,押込み法による加工糸は,かさ高性が大きい(バルキーヤーン)。5倍以上に伸びるゴムのような弾性をもつスパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)は,単独または他の繊維と混紡して伸縮性のある糸として用いられるほか,スパンデックスを芯糸にし,外側を他の糸で巻いたカバードヤーンcovered yarnや,スパンデックスフィラメントを芯に,他繊維が外側にくるようにつくられたコアスパンヤーンcore spun yarnとして用いられる。【坂本 宗仙】。…
…リネン繊維は長い微小繊維が集まってできている。ナイロン6,ポリエステル,スパンデックスは普通は円形断面の繊維であるが,多くの異形断面糸も作られている。絹光沢を出すための三角断面糸,沈んだ底艶の梳毛(そもう)服地の感じをもたせるための六角や八角断面糸,羊毛の風合いを出すためのらせん状のウーリー糸,および種々の中空糸が製造されている。…
※「スパンデックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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