改訂新版 世界大百科事典 「マオタイチュウ」の意味・わかりやすい解説
マオタイチュウ (茅台酒)
Máo tái jiǔ
中国南部の貴州省仁懐県茅台でつくられている蒸留酒。コーリャンを主原料とし,大麴(だいきく)を用いて固体発酵させたものを蒸留し,長期間貯蔵熟成させて製品とする。清の康煕(こうき)年間(1662-1722)のこと,汾酒(フエンチユウ)の産地である山西省杏花村の商人が同地を訪れ,風光明美で水もよいのに酒のまずいことを惜しみ,杏花村から酒造りの職人を伴って行き,つくらせたところ,汾酒に劣らないほどのものができた。初めは杏花村の茅台酒の意で〈華茅酒〉と呼んでいた。1915年のパナマ万国博覧会で世界名酒の1等賞に選ばれているが,72年2月のニクソン・アメリカ大統領,同9月の日本の田中首相の訪中によって一躍世界に名を知られるようになった。独特の香味があり,中国では八大名酒の一つとされる。アルコール分53~55%。
→中国酒
執筆者:堀 健三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報