日本大百科全書(ニッポニカ) 「マカベーイェフ」の意味・わかりやすい解説
マカベーイェフ
まかべーいぇふ
Dušan Makavejev
(1932―2019)
セルビアの映画監督。セルビアのベオグラードに生まれる。ベオグラード大学で心理学を学ぶ一方、実験映画に関心をもち、多くの短編を製作。フィルム・ライブラリーで古典映画を研究したり、シナリオの習作を書くなどしたのち、1964年に長編第一作、個性的な『人間は鳥ではない』を発表した。性と政治が主題となる彼の作品の特徴は、『愛の調書、又は電話交換手失踪事件』(1967)、『WR:オルガニズムの神秘』(1971)にみられるが、作風があまりに過激なため、国内では映画製作ができなくなってしまう。その後スウェーデンで『モンテネグロ』(1981)、オーストラリアで『コカコーラ・キッド』(1985)をつくったが、1988年にはベオグラードに戻り、アメリカの映画資本を得て、政治的な風刺喜劇『マニフェスト』を発表した。
[小松 弘]
資料 監督作品一覧
人間は鳥ではない Čovek nije tica(1965)
愛の調書、又は電話交換手失踪事件 Ljubavni slučaj ili tragedija službenice P.T.T.(1967)
保護なき純潔 Nevinost bez zaštite(1968)
WR:オルガニズムの神秘 W.R. - Misterije organizma(1971)
スウィート・ムービー Sweet Movie(1974)
モンテネグロ Montenegro(1981)
コカコーラ・キッド The Coca-Cola Kid(1985)
マニフェスト Manifesto(1988)
ゴリラは真昼、入浴す。 Gorilla Bathes at Noon(1993)