日本大百科全書(ニッポニカ) 「マグヌスソン」の意味・わかりやすい解説
マグヌスソン
まぐぬすそん
Skúli Magnússon
(1711―1794)
デンマーク王国の支配下で選任された初のアイスランド土着の代官(在任1749~1793)。デンマーク政府のアイスランド貿易独占状態に、一貫して反対し、その一部廃止を実現した(1787)。産業をおこすためデンマークの援助により、レイキャビークにドイツ人織物師を招いて毛織物工場や製革所を設立した。また、デンマークやノルウェーの農民を介して農業技術の導入を図り、性能のよい漁船・漁具を紹介し、造・植林を各地で試みた。この精力的改革事業はただちに結実したわけではないが、1800年代のアイスランド独立運動の先駆けとなった。彼は、18世紀後半の疫病、飢饉(ききん)、地震、火山噴火などの自然災害に苦しんでいた祖国の救済に多大な貢献をした。
[荒川明久]