岩石学辞典 「マグマの発生」の解説 マグマの発生 マグマの存在は疑う余地のないものであっても,地球の歴史の間に常に同じ物が同じ所にあったわけではなく,常に地球内部のどこかでマグマが発生し,いずれは消滅するものである.ボーエンはマグマの分化作用の逆の過程が行われれば物質が熔融すると考え,後に実験を基礎にしてマグマの発生を体系的に考えた[Tuttle & Bowen : 1958].マグマ形成の原料物質は基本的に固体岩石で,温度,圧力,化学組成などが周囲の岩石と異なるために,特定の部分のみに熔融現象が起こりマグマが形成される.熔融には大量の熱エネルギーの消費が必要で,その大部分は一般に地球内部の温度勾配によると考えられている.圧力については,深部物質が浅い所に上昇して断熱的に減圧されソリダス面を通過すれば岩石が熔融する可能性があるが,条件が適当でない限り圧力減少による熔融は重要でないという意見もある[Yoder : 1975, Best : 1982].化学組成が異なると熔融温度も異なり,SiO2の量などは熔融温度に関係する.特にH2O, CO2などの揮発性成分を多く含む岩石ではソリダスが低下するために周囲の岩石よりも低い温度で熔融が起こる可能性がある. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報