日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツバゴチ」の意味・わかりやすい解説
マツバゴチ
まつばごち / 松葉鯒
thorny flathead
[学] Rogadius asper
硬骨魚綱スズキ目コチ科に属する海水魚。本州中部以南の太平洋および日本海沿岸、東シナ海からフィリピン、ベトナム、オーストラリア北岸にかけて分布し、とくに南太平洋に多い。頭が扁平(へんぺい)で、背側面には多数の強い棘(とげ)や隆起縁があり、後頭部隆起縁に4本の棘がある。両眼間隔、眼下骨の隆起縁の棘は著しく小さく、鋸歯(きょし)状。腹面は平たく、腹びれは胸びれ基部よりも後方に位置する。5本の前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の棘のうち、最下方のものは前方に向かうのが大きな特徴。体は黒褐色で数本の暗色帯があり、全長18センチメートル余りになる。底引網でときどき漁獲される程度で、量的には少なく、練り製品にされる。
[落合 明・尼岡邦夫]