化学辞典 第2版 「マトリックス重合」の解説
マトリックス重合
マトリックスジュウゴウ
matrix polymerization
テンプレート(template)重合ともいう.マトリックスの直接の作用が,生成する高分子の重合度,分子量分布,光学活性など種々の性質に反映される重合をいう.いわゆるラダー重合の応用と考えられ,レプリカ機構により重合が起こり,生体では核酸の機能などにも関連のある重要なものである.この例として,V.A. Kabanovらは,ポリスチレンスルホン酸のような高分子酸の存在下で,4-ビニルピリジンが容易に重合することを見いだした.その機構として,高分子酸のマトリックスにビニルピリジンの塩基部分が作用して四級化を起こし,マトリックスにそってモノマーがビニル基を外側にして配列することが考えられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報