化学辞典 第2版 「ビニルピリジン」の解説
ビニルピリジン
ビニルピリジン
vinylpyridine
C7H7N(105.14).ピリジン環につくビニル基の位置により3種類の異性体がある.【Ⅰ】2-ビニルピリジン(2-vinylpyridine):ピリジンとエチレンとを赤熱管中に通すか,α-ピコリンとホルムアルデヒドを縮合させて2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジンとし,ついで脱水して合成する.重合しやすい油状液体.沸点68~71 ℃(4 kPa).0.9746.1.5495.エタノール,エーテル,クロロホルムに可溶,水には難溶.ビニル基の反応性を利用して合成ゴム,接着剤,塗料の原料として使われる.【Ⅱ】3-ビニルピリジン(3-vinylpyridine):3-アセチルピリジンのアセチル基の還元,脱水により合成する.不安定な淡黄色の液体.沸点67~68 ℃(1.7 kPa).1.5530.エーテルに可溶,エタノールに微溶,水に難溶.【Ⅲ】4-ビニルピリジン(4-vinylpyridine):γ-ピコリンから,2-ビニルピリジンと同様にして合成する.無色,刺激臭のある液体.光に不安定である.沸点80~81 ℃(4 kPa).1.5490.0.988.λmax 264 nm(ε 1.647×104).pKa 5.62(25 ℃).水,エタノール,エーテル,ベンゼンに易溶.放置すると赤褐色に着色し,光によって重合する.繊維やゴムの改質剤,接着剤,高分子系界面活性剤やイオン交換体の原料に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報