日本大百科全書(ニッポニカ) 「マハーバスツ」の意味・わかりやすい解説 マハーバスツまはーばすつMahāvastu 「大事」の意で、仏教における重大なできごとをさすが、具体的には開祖ブッダの伝記(仏伝)を中心とした聖典。大衆部(だいしゅぶ)系の説出世部(せつしゅっせぶ)という部派の所伝で、仏教特有のサンスクリット語で書かれており、漢訳もチベット訳も存在しない。内容は、ブッダの前生物語から始まり、その誕生、出家、成道、初転法輪から教団成立までの事跡を述べる。ただその間に仏伝以外の種々な物語や教理が挿入されていて、全体としてかならずしも整然としていないが、仏伝文学のなかでは古い要素を伝えているものとみられる。[藤田宏達] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例