マハーバストゥ(その他表記)Mahāvastu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マハーバストゥ」の意味・わかりやすい解説

マハーバストゥ
Mahāvastu

仏教大衆部 (だいしゅぶ) 系統の出世部でつくられた仏伝。俗に仏教梵語といわれる古典文法に一致しない部分のあるサンスクリット語で書かれている。マハーバストゥは直訳すれば「大事」で,その内容は雑然としているが,釈尊の事跡および過去世物語 (本生) などを記述したもので,律蔵に属する部分もあり,また大乗的な思考もみられる。3編に分れ,第1編は釈尊の前生,第2編は悟りを開くまでの事跡,第3は初転法輪と,大弟子たちの本生話を記している。

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世界大百科事典(旧版)内のマハーバストゥの言及

【仏教】より

…他に雪山部(せつせんぶ)があり,根本上座部を自称している。大衆部もまた多くの部派に分かれたが,北インドにあった説出世部(せつしゆつせぶ)は仏伝《大事(マハーバストゥ)》を残している。南インドは大衆部系が多いが,地域的にアーンドラ派と呼ばれることもある。…

【仏教文学】より

… サンスクリット仏教文学は紀元前後から現れはじめ,内容的には仏伝,讃仏,比喩に大別することができる。《マハーバストゥ(大事)》《ラリタビスタラ》などは主としてこのうちの仏伝文学といえる。しかし,仏陀を超人的存在とみなし,多くの説話や比喩を挿入するなど,パーリ語のそれとは趣を異にする。…

※「マハーバストゥ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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