日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリー川」の意味・わかりやすい解説
マリー川
まりーがわ
Murray
オーストラリア南東部の川。「マレー川」と表記される場合もある。スノーウィー山地に発し、ニュー・サウス・ウェールズ州とビクトリア州との州境を西流してサウス・オーストラリア州南東部のエンカウンター湾に注ぐ。長さ2520キロメートル。ダーリング川、マランビジー川などとともにマリー・ダーリング水系(流域面積106万平方キロメートル)を構成する。マリー川中流とラクラン川に挟まれたリベリナRiverina地方は同国の代表的な農牧業地帯。スノーウィー山地水力開発事業により水量を確保し、多くの灌漑(かんがい)地区が発達。とくにミルジュラ(ビクトリア州北西部)やレンマーク(サウス・オーストラリア州南東部)を中心とする地区が果樹栽培などで知られている。流域が三州にまたがるので、三州間で水の利用協定が結ばれている。1824年イギリス人探検家ヒュームH. Hume(1797―1873)らが上流部を発見。1830年スタートCharles Sturt(1795―1869)が下流部を調査し、イギリス本国植民地大臣名にちなみ命名。19世紀後半に河川交通に利用されたことがある。
[谷内 達]