改訂新版 世界大百科事典 「マンサブダーリー制」の意味・わかりやすい解説
マンサブダーリー制 (マンサブダーリーせい)
Manṣabdārī System
インドのムガル帝国における軍事・官僚機構。第3代皇帝アクバル時代(1556-1605)の中期,1570年代半ばから90年代にかけて成立したといわれる。マンサブmanṣabはアラビア語で〈位階〉を意味し,ダールdārは〈持つ〉の意のペルシア語dāshtanの語根で,〈マンサブダールmanṣabdār〉は位階を持つ者の意。当初の制度では,軍人,一般官僚を問わず,帝国に仕える者はすべて,皇帝からマンサブ(最低10位から臣下としての最高5000位まで)を与えられ,なんらかの功績のあるごとに昇進していくしくみとなっていた。マンサブを与えられた〈貴族〉も含め,すべて帝国官僚はマンサブダールと呼ばれたはずであるが,〈貴族〉は実際はウマラーumarā(アミールの複数形)と呼ばれており,特別な階層を成していた。
執筆者:小名 康之
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