山川 世界史小辞典 改訂新版 「マンサブ」の解説
マンサブ
manṣab
インド,ムガル帝国のアクバルによって導入された官位。語義は「位」。ムガル帝国では,文官と武官の区別がなく,各官僚=武人は最低10から最高5000(のちには7000,皇子は最高1万,のちには1万2000)までの数字で示されたマンサブを与えられ,その数字に応じて給与の額と保持すべき騎兵の数が定められた。マンサブの保有者(官僚)はマンサブダールと呼ばれ,500(のち1000)以上がアミール(貴族)とされた。彼らは一般に給与を現金でなく,ジャーギール(給与地)の形で支給された。マンサブは最初一つの数字で表されたが,のちには二つの数字(本人分と保有騎兵分)で示されるようになった。その後さらに複雑化したが,マンサブ制度は,ムガル帝国の官僚制度の核として維持された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報