日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミクロネシア諸言語」の意味・わかりやすい解説
ミクロネシア諸言語
みくろねしあしょげんご
太平洋上の、マリアナ、カロリン、マーシャルの諸島を含むミクロネシア諸島およびキリバス(ギルバート)諸島でおよそ25万人によって使用される20ほどの言語の総称。ただし、チャモロ、ベラウ(パラオ)、ヤップ、ヌクオロ、カピンガマランギの各言語は比較言語学上のミクロネシア諸言語には所属しない。系統的には、オーストロネシア語族、マライ・ポリネシア大語派の遠隔オセアニア語派に属し、メラネシア、ポリネシアの諸言語と近縁関係を有する。代表的言語は、キリバス語、コシャエ(コスラエ)語、マーシャル語、トラック語群(トラック、モートロック、プルワット、サタワル、オレアイ、ユリシなどの諸言語)、ポナペ語群(ポナペ、モキル、ピンゲラップなどの諸言語)。pw, mwなどの軟口蓋(こうがい)化音、tt, kkなどの重子音をもち、開音節語、閉音節語の両者がある。語順は一般に「主語+動詞+目的語」。トラック語の例a-téé-ppékú-feseeni-sáfáániire-tá「彼らに同時に反対の方向にふたたび這(は)い上がらせる」(-téé- =這う)のように接辞ならびに付属語が豊富である。kama「鎌(かま)」、sarmada「さるまた」(ポナペ語)など、日本語からの借用語も多い。
[杉田 洋]