ミズメイガ

改訂新版 世界大百科事典 「ミズメイガ」の意味・わかりやすい解説

ミズメイガ (水螟蛾)

鱗翅目メイガ科ミズメイガ亜科Nymphulinaeの昆虫総称。日本産既知種が600種をこえるメイガ科のなかでは小さな亜科で,現在28種しか知られていない。翅の開張1.5~3cmくらいで,おもに小型,夜行性の種を含む。鱗翅目の幼虫は一般に地上に生えた草や木の葉,茎,果実などを食べており,水生植物に寄生する場合は茎や葉に潜り直接水に触れないが,ミズメイガの幼虫の多くは水生で,水生の植物に寄生する。したがって,沼沢地や湿地帯にすむものが多く,日本のように全国的に開発の進んだ現在では,この亜科の産地はひじょうに局所的となっている。水生幼虫は,初齢では皮膚呼吸をし,一部の種はのちに糸状の気管腮(きかんさい)で呼吸する。害虫としてランクされている種は少ないが,イネミズメイガParaponyx fluctuosalisは,イネやスイレンに寄生し,熱帯や亜熱帯地方でイネの害虫として知られ,日本では本州南西部より西に広く分布している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズメイガ」の意味・わかりやすい解説

ミズメイガ
みずめいが / 水螟蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科のなかの一亜科をさすミズメイガ亜科Nymphulinaeのガの総称。メイガ科のなかでは小さな亜科で、日本には37種ばかりしか知られていない。幼虫の多くは沼沢地や湿地帯に生えているウキクサヒシ、スイレン、ヒルムシロカワゴケソウなど水生植物の葉を食べる。したがって、幼虫は水生で、初齢では皮膚呼吸をし、一部の種は、のちに糸状の気管腮(きかんさい)で呼吸する。イネミズメイガParapoynx fluctuosalisは、イネやスイレンに寄生し、本州南西部より南で害虫として有名である。

[井上 寛]

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