カワゴケソウ(読み)かわごけそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワゴケソウ」の意味・わかりやすい解説

カワゴケソウ
かわごけそう / 川苔草
[学] Cladopus japonicus Imamura

カワゴケソウ科(APG分類:カワゴケソウ科)の多年草。根は扁平(へんぺい)な葉状体となり、濃緑色、著しく羽状に分枝して渓流の岩上に固着する。花茎は葉状体の分岐点の上面にでき、下部に数枚の針状葉を束生し、秋には10~12枚の葉が2列に密生する。茎葉は線形で深く2裂し、さらに掌状に浅く5、6裂し、針状葉に比べ著しく短い。10~12月、花茎上に長さ1.5センチメートルの花を1個頂生し、初めは卵形の鞘(さや)状になった包葉に包まれ、開花時には包葉の上部が不規則に裂ける。花被(かひ)2枚は針状で花糸の左右につき、雄しべ、雌しべともに1本、子房はゆがんだ卵形で花柱は2本。蒴果(さくか)は球形で長さ1.5ミリメートル。鹿児島県の川内(せんだい)川、安楽(あんらく)川など限られた河川に生育する。

[小林純子 2020年7月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワゴケソウ」の意味・わかりやすい解説

カワゴケソウ(川苔草)
カワゴケソウ
Cladopus japonicus

カワゴケソウ科の多年草。流水中に生育する。根は2~3回分枝し,茎は平らになって,流れの速い川の岩石をおおうように着生しているため,一見コケ類のようにみえる。茎のところどころに 5mmほどの針状の葉を束生する。9月頃,葉の出ている部分から2~3mmの小茎を出し,その頂に花をつける。花にはおしべめしべが1本ずつあり,おしべには線形の花被鱗片がついている。子房は上半が淡紅色。 蒴果は球形で短い柄をもち,上半が斜めにはずれて開裂する。 1927年,鹿児島県の久富木川で発見されて以来川内川安楽川など南九州の急流中にだけ見出されている。

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