ヒルムシロ(読み)ひるむしろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルムシロ」の意味・わかりやすい解説

ヒルムシロ
ひるむしろ / 蛭蓆
[学] Potamogeton distinctus A.Benn.

ヒルムシロ科(APG分類:ヒルムシロ科)の浮葉多年草。池沼や小川および水田など、水深1メートル以内の浅水中に群生する。種子および根茎の先端に生じる殖芽で越冬する。根茎は泥中を横走し、節から白色で糸状の根と水中茎を出す。水深により水中茎の長さが異なり、普通10~60センチメートル、ときに3.5メートルに及ぶ。水中葉は互生し、狭長披針(ひしん)形で全縁。水流強弱により葉柄と葉身の長さや形が異なる。浮葉は平滑で光沢がある。5~10月、黄褐色を帯びた2~6センチメートルの穂状花序を水面上に出す。果実広卵形堅果で長さ3~4ミリメートル。水田の雑草として知られ、日本およびアジア東部に分布する。名は、浮葉の形をヒルの休む蓆(むしろ)に例えたもの。

[大滝末男 2018年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒルムシロ」の意味・わかりやすい解説

ヒルムシロ(蛭蓆)
ヒルムシロ
Potamogeton distinctus; pondweed

ヒルムシロ科の水生の多年草で,ヒルモともいう。日本,朝鮮半島および中国の温帯から暖帯に広く分布し,池,溝,水田などに普通に生える。地下茎の先端に殖芽をつくり繁殖する。茎は地下茎から水中に伸びて,水の深さにより長さを変える。葉に2型あり,水中葉は披針形で短い柄がある。浮水葉は茎の上部につき,長楕円形で表面に光沢があり,葉柄基部に膜質の托葉がある。夏から秋にかけて,穂状花序をなして黄緑色の無花被の花を多数つける。おしべは4本,めしべの子房は1~3個ある。果実は広卵形の核果で背部に翼がある。

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