改訂新版 世界大百科事典 「ウキクサ」の意味・わかりやすい解説
ウキクサ
greater-duckweed
Spirodela polyrhiza (L.) Schleid.
水面に浮遊する多年生のウキクサ科の水草。水面に浮かぶ葉状体は倒卵形で,長さ数mm,上面は緑色,裏面は赤紫色である。出芽形成された新葉状体はすぐには分離せず,数個がつながって水面をただよう。葉状体の裏面中央部から10本ほどの根を水中に下ろす。根の先端には明らかな根冠がある。夏季に小さな花をつけるが目立たない。冬季は小さな越冬芽で水中に沈んで春を待つ。熱帯から温帯の全世界の淡水域に広く分布する。ウキクサは中国や日本で民間薬として全草が用いられ,強心や解熱の作用があるとされる。アヒルの飼料や水田の肥料にもされることがある。
よく似たアオウキクサLemna paucicostata Hegelm.の葉状体は2~4mmで両面とも緑色で,葉状体はそれぞれ1本の根しか出さない。またヒンジモL.trisulcata L.の葉状体は長い柄で連結し,接しあわない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報